皮膚科疾患の治療法の一つに”光線治療”と言われるものがあります。日光浴でよくなる皮膚疾患があることは昔から知られております。紫外線(UV)は、波長の長い方から順にA・B・Cの3種類に分類されますが、UVBに含まれる308nm~313nmの中波長紫外線が、皮膚疾患に高い効果を持ち、副作用は低いということが、研究により明らかになりました。その中でも311±2nmにピークをもつ光(発がん性などが無いと考えられる波長)がナローバンドUVBと名付けられ、難治性の皮膚疾患の治療に使用されております。
当院では全身に照射できるナローバンドUVB照射装置を導入しております。二重に組み込まれた安全装置によりコントロールされているため、当たり過ぎなどを招きにくく、日焼けも起こしづらい、しかも有効性の高い機器になります。
また、さらにエネルギーの強いターゲット型のエキシマライトも2台導入しており、症状や部位に応じた治療を行っております。ステロイドなどの塗り薬や内服薬などと併用し、症状の早期改善を目指します。外用療法だけでは痒みや湿疹を十分に抑えきれないアトピー性皮膚炎の患者さんなどにはナローバンドUVBの併用が特にお勧めです。
- ① サイトカインや接着因子に対する効果
- ② 角化細胞の増殖と血管新生の抑制
- ③ 病因となる細胞のアポトーシス誘導
- ④ 制御性T細胞の誘導
などが考えられています。
保険適応疾患
アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、尋常性乾癬、類乾癬、菌状息肉症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹
治療費
3割負担 約1,000円 (別途、初再診料、処方料などが必要です)
通院回数
週に1~2回程度
※症状が落ち着くまでは週に2回程度の照射をお勧めしますが、経過により月に1~2回となることもあります。
照射面積によって異なりますが、最初の照射は数秒から数分程度であり、診療ごとに照射時間を少しずつ伸ばしていきます。
照射中には、角膜や結膜の障害を防ぐため、必ず紫外線カットのメガネを着用します。
副作用としまして、照射回数が増えてくると照射部位に反応性の紅斑やほてりが出現することがあります。効果と副作用のバランスをみながら、維持するための出力を調節していきます。